|
アカデミックスキル・トレーニングは、個人の情報処理能力(認知特性)の偏りと情緒の状態に配慮した療育的学習支援のひとつです。
人間は従来等しく能力があり、一定の学習方法と努力があれば、あたかも皆等しく効果があると思われていました。
しかし、実はほとんどの人間に能力の偏りや心の中の不安や葛藤があり、皆が同じ方法で同じ結果になることなどないことがわかっています。
この偏りと心の状態に配慮し適切な学習をおこなうことで、「自分でもやればできる」思いを体感できたり
(自己効力感)学校の授業が「わかる」「できる」ようになります。 学力が中程度までの児童・生徒に適したものですが、特に不登校で長期間学習環境から離れているケースやLD・ADHD・高機能自閉症などの軽度発達障害を抱えるケースに対応しています。
あらかじめ決められたプログラムに子どもが合わせなければならない教育論や過度の忍耐や集中を強いる学習方法ではなく、
個々の特性に応じた学習支援がアカデミックスキル・トレーニングです。
◇アカデミックスキル・トレーニングの実際
子どもによって具体的な方法は異なりますが、基本的に個別対応で概ね以下の流れに沿ってトレーニングを進めていきます。 教科は国語と算数(中学生になると英語と数学の場合もあります)です。
1.アセスメント:医療機関による心理検査を分析し、 センターによる学力検査・観察を経て本人の状態を把握します。
心理検査を受けていない場合や受けることに抵抗がある場合もトレーニングをおこなうことが可能です。
できるだけ保護者の気持ちに寄り添う形で進めていきます。
2.保護者面談:アセスメントの結果から、認知特性と情緒の状態を確認し見立てをおこないます。
保護者と相談しながら具体的なトレーニング方法を探っていきます。 また、各学期にも面談をおこない(希望者のみ)、経過の報告と目標の再設定などを継続しておこなっていきます。
なお、情緒的な問題や発達の状況からプレイセラピーや他の療育的トレーニングをお勧めする場合もあります。
3.個別指導計画(※1):個々に応じたトレーニングの計画を「個別指導計画」として作成します。
これは、トレーニングの目標とその成果をその都度見直しながら記録していくものです。
記録は、進学後や就労の際に他の専門機関やコーディネーターに繋いでいく役割をするものです。
4. トレーニング(初期段階):ラ・ポール形成と環境の構造化を図りながら、学力のステップアップをおこないます。
ラ・ポール(ラ・ポート)とはスタッフとの良好な関係を表した言葉です。 子どもにとって、失敗しても大丈夫であることや大人の目を気にしながら勉強をする必要がないことを、
スタッフとの関係を通して体感することを意味します。 構造化とはトレーニングの目的に沿った取り組みやすい環境を表した言葉です。
視覚刺激や聴覚刺激に敏感な子どもや、多動傾向が強く集中が続かない子どもなどそれぞれの個性に対応できるよう、
室内の光と音の配慮や体の活性や時間配分のコントロールをおこなっていきます。
5.トレーニング(中期段階以降):学力のステップアップの基本は、マイペースと達成感の獲得です。例えば聴覚認知が弱い子どもの場合、
できるだけ視知覚認知に働きかけるために具体的な絵や物を通して理解を進めます。問題を解く作業も、
リハーサル(まずやってみる)→強化(習熟を図る)→般化(積み重ね)といった、スモールステップと即時フィードバックを土台にした方法をとっています。
(※1) :現在「個別指導計画」の作成はおこなっておりません。東京都が進める特別支援教育において、所定の書式ができることになっています。
◇トレーニングの回数と効果について
アカデミックスキル・トレーニングは、受ける回数によっても効果に違いがでてきます。また、回数を多くしても、
個々の状況によっては精神的な負担が増え続かない場合もあります。以下は週当たりのトレーニング回数の目安です。
本人ならびにご家庭の事情も踏まえてご相談・ご検討ください。
|
学年
|
基礎学力の補償
|
学校の授業の理解
|
|
小学校1・2年生
|
週1回
|
週2回
|
|
小学校3年生〜6年生
|
週1回または2回
|
週2回または3回
|
|
中学生 ※
|
週1回または2回
|
週3回または4回
|
※ 小学校からの継続を前提としたものです。


|